28.はたまた迷子の2人!

小説
主要な登場人物
レイト 
 雷を操れる少年
 じいちゃんの言いつけで王都へと旅立つ
 また正義に生きることを目指している。
ルアル 
 魔法を使う魔術師の少女
 レイトとは旅の途中出会い、
 一緒に王都を目指す。

前回のあらすじ
 レイトとルアルはリモクから旅立ち、新たな冒険へと進んでいる!

レイトとルアルは、またも道に迷っていた。

「ねえ、なんでまた道に迷ってんのよ」

そう言いながらルアルはレイトを睨んだ。
レイトは先頭を歩いている。

何かしら鋭い視線を感じるが知らないフリをする。

「まあ旅には付き物だ!」

そういうとルアルは怒りで前に拳を強く握りしめていた。
レイトはそれに気づき、少し歩く足を早めた。

「誤魔化さないでよ!あんたが近道だって言うから、ついて行ったら、迷子になったじゃないの!!」

大きく怒鳴るルアルにレイトは答えた。

「だって!この道を行けば近道になる気がしたんだ!」

その回答に、ルアルは呆れていた。

「はぁ?気がするってなによ!このバカレイト!」

それにレイトも怒って反論した。

「バカっていうな!じゃあまた下手なジャンプでもすればいいだろ!」

ルアルの身体強化の魔法。
それは彼女が1番苦手な魔法である。
それを指摘されルアルは、恥ずかしくなり顔を赤くさせた。

「あ、あんたね!私の魔術をバカにする気!?」

そう言ってルアルは杖を取り出して、レイトに向けた。

レイトは驚いて、ルアルから遠ざかるために走り出す。

「おい!魔法は人に使っちゃいけないんじゃないのか!?」

そうレイトが言うとルアルは、真っ赤にした顔で「うるさい」と言い、レイトを追いかけた。

リモク村での、魔物退治から数日、未だ王都には辿り着きそうにない…

あれから2人は走ったり、怒ったりで、疲れていた。

あたりは日が暮れそうになっている。

「ねえ、この道ほんとに大丈夫なの…?」

疲れた弱々しい声で言うと、レイトも弱々しい声で返ってくる。

「うーん、何かこっちのような気がする」

その曖昧な回答にルアルは怒る気力が出ないので一言で済ます。

「あっそぅ…」

レイトが前を歩き、その後ろをついていくようにルアルは歩いていた。

「うー…」

唸り声しか出ないルアルはひたすらレイトの跡をつけていると、突然レイトが立ち止まった。

ルアルも驚いて立ち止まる。
ちょうどレイトの頭がぶつかりそうになる。

「あぶない!…突然なによ?」

すると静かな声でレイトから返答があった。

「村が見える…」

ルアルは耳を疑うようにもう一度聞く。

「なんだって…?」

それに対してレイトは最初よりも大きく喜びを交えた声を上げた。

「村がある!」

ルアルは、レイトの頭上から、ちょうどひょっこりと顔出し、レイトの前を見た。

そこには本当に村があったのだ。

ルアルは手を握りしめると、空へと振り上げた。

「やったー!!」

レイトとルアルは、2人して喜び、そして駆け出すのだった。

もう日が暮れる一歩手前であった。

2人は村へ着く。

そこでは人が普通に歩いているのを見て、レイトは感心した。

「おー、人が普通に歩いている!」

レイトがそう言うとルアルは、呆れていた。

「そりゃ、リモク村の時が、わけありなんだから、これが普通よ」

「なるほどなるほど」と、レイトは2度頷く。
ルアルは本当にわかってんのか疑わしい目を向ける。

安心した2人。
だが、そのせいか急に疲労が襲い始めた。

「ぐっ…なんだか体がダルい……」

レイトに同調するようにルアルも肩を落としている。

「うん…今日はこの村で休むことにして、とりあえず宿を探しましょう!」

そう言って2人はこの村を探索し始めた。

村の中を歩く、リモク村よりも栄えており、お店も多い印象を受ける。

あたりを探索すると、ルアルが声を上げた。

「あれが宿屋ね!」

指差した先には木造の2階建の宿があった。

「よし!早く寝るぞ!」

レイトは、そう言って宿屋の方へと向かう。
ルアルも、そのレイトの、はしゃぎように呆れながら宿屋へ行くのだった。

そんな2人をこっそり盗み見るものがいた。

彼は、物陰に隠れながら、レイトとルアルの2人を見て、ニヤリと笑みを浮かべる。

そしてすぐさま身を隠すのだった。

宿屋に入った2人は、受付のおばさんと挨拶し、ルアルが宿を借りるために会話をしていた。

その間、後ろでレイトは立ちながら待機していると、何やら胸騒ぎがする。

(っ?…)

思わず、胸の辺りを掴む。

何かありそうな気がしてたまらない。

だが、そんな雰囲気を感じないところに不快感を感じる。

「レイト、宿を借りれたわよ!」

「…お、おう」

戸惑いながら、返事をする。

ルアルは、レイトに疑問も持たず、部屋の方へ案内する。
それに後ろからレイトはついていく。

(なんだろ…)

そう自分に疑問を持ちながら、ふっと息を吐いて落ちかせた。

宿屋のおばさんは、ルアルたちが泊まる部屋の扉前まで案内する。

場所は2階の部屋だ。

扉の前まで案内すると「ゆっくりお過ごしよ」と一言添えて、受付の方へ戻っていった。

ルアルは、扉を開ける。
そしてレイト共に部屋の中へ入った。

「ここが私たちの泊まる場所ね!」

部屋はベッドが2つ並んでおり、なんとも変わり映えもない普遍的な部屋だった。

それぞれ左右に並ぶベッドに、ルアルは座り込み、レイトは寝るように倒れ込んだ。

「今日は、やけに疲れたわ」

そういうと、レイトは顔だけを向けてルアルに言った。

「なんだか俺も相当疲れた気がする!」

ルアルは目を細めて、うんざりした視線を送る。

「そりゃ、あんたが変な道通るから」

それに対してレイトは、反対側へと顔を背けた。

「もう寝よう」

ルアルは、無視をされて眉間に眉を寄せる。

だが、疲れていて怒る気も起きない。
しょうがなく、ベッドに横になった。

「もうお休みしましょう」

ルアルもそう言うと、2人はあっという間に眠り込んだのだった。

そして次の日の朝になる。

2人は起きると、宿屋の併設された酒場で、朝食を食べに来ていた。

酒場にいるのは、レイトたちだけだった。
テーブルを前にして2人は座っている。

「なんだか、昨日はぐっすり眠ったね」

「うん、何も食べてないからお腹ぺこぺこだ!」

朝食のパンとスープをもらえたので、それを2人は、食べながら、お話しする。

「朝食を食べたら、村をでる準備をしましょう!その前に買い出しに行くけど」

「何買うんだ?」

「そりゃ、食糧よ」

「そうか…もう少し、宿屋でゆっくりしたいけどなぁ」

レイトは、不満を垂らす。

「だめよ、お金が尽きちゃうわよ、あまり滞在してられない」

レイトはがっかりしている。
正直ルアルも、もう少しゆっくりしたいと思っている。

だが、お金は無限にあるわけではないため、それを我慢する必要があった。

2人は朝食を食べ終わると、部屋に戻ろうとする。

ただルアルは、少し立ち止まった。

「私ちょっとお風呂に入ってくる」

この宿屋には、共用のお風呂ある。
気分転換にそれを利用しようとルアルは考えていた。

「なら俺は先に部屋に戻ってるぞ」

手を振るレイトに、頷きながらルアルは宿の受付のほうへ、聞きに行った。

レイトは、部屋に戻り、ベットに寝そべっていた。

少しでも休もうと、横になっていたが、また胸騒ぎが起きる。

「昨日から、これはなんなんだ!!」

たまらず1人で、叫んでしまった。

誰もいない部屋に、レイトは1人たたずむ。

昨日から続く胸騒ぎ、それは一体何を示しているのか、レイトには何もわからないでいた。

ルアルは、宿の奥にあるお風呂場にいた。

大きな窓のある脱衣所で脱いだ服を置き、白いレースで仕切られた浴室に入る。

綺麗で、清潔に保たれている浴室は、広くはなくむしろ1人で、十分なほどだった。

「私が1番最初かな…?」

使われた形跡もなく、綺麗な浴室だった。

木の湯船に浸かった水を、桶で掬って、頭から被った。

冷たく、体を震わせるが、気分転換にはうってつけだ。

「ふぅ…気持ちいい…」

浴室にある一つの窓から、ちょうど朝日が差し込んでいた。
ルアルはその朝日にあたり、目を瞑っていた。

密かに暖かい光は、ルアルの気持ちを落ち着かせるのに、効果てき面だった。

その後は何度か水を浴びて、浴室を出ようとした時だった。

近くでガラスの割れる音が聞こえた。

「っ!!」

後ろの脱衣所の窓だ。

驚きのあまり体が硬直すると、レースの先に誰か立つ。

それを見てルアルは叫んだ。

「きゃあああああ!!誰か来て!!」

大声は、宿内に響いた。

タオルを体に垂らして、体を隠しながら、ルアルは、薄く透けるレースの向こう側にいる人物を睨む。

背丈は、思ったより小さい。

(…レイトと同じくらい?)

そこに立つ人物は、何やらルアルの私物を浅瀬っている。

「この変態!!なにしてんのよ!」

そう言ってルアルは、拳を握りしめると、魔力を込めた。

そしてレースの向こう側へと、歩み寄ろうとした時、ルアルの私物から、何か光る物を引き取り出した。

「それは、私の大事なペンダント!!」

そう言うと、急いで駆け出して、右手を抱え上げながら、その人物の向こうへと飛び上がる。

拳を叩き込もうとするも、その人物はすぐさま割れた窓から外へと出ていった。

「…っ!」

そこへちょうどよく、盗人が出たの同時に、脱衣所の扉が開くとレイトが飛び出してきた。

「大丈夫か!ルアル!」

「あっ」

だが、ちょうどそこへ、ルアルの拳が叩き込まれた。

「ぐはぁっっっ!」

お腹に拳が叩き込まれ、そのままレイトは横に倒れた。

「あ、ごめん!」

心配しながら、なだめている。
レイトは、口を半開きにしながら気絶している。

受付のおばさんもきて心配そうにしている中、ルアルは、割れた窓の方に視線を移した。

「いったい、だれよ…!」

レースの先にいた人は、レイトと同じくらいの背丈に見えた。だが、素顔を見ることができなかったので、誰だかはわからない。

ルアルは苦虫を噛み潰したかのような顔をしている。


お久しぶりの投稿になりましたが、これからは新しいお話を書いていきます!
毎週投稿するのでよろしくお願いします。

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