35.騒がしいレイトとロクス

小説
主要な登場人物
レイト 
 雷を操れる少年
 年齢 10歳
 じいちゃんの言いつけで王都へと旅立ちながら、 
 困ってる人を助ける。
 じいちゃんに言われた通り、正義に生きることを
 目指している。

ルアル 
 魔法の世界からやってきた魔術師の少女
 ピンク色の髪で普段はツインテールにしている。
 蒼い目(通称 月の目)を持つ。
 年齢 11歳
 レイトとは旅の途中出会い、一緒に王都を目指すことになる。
 目的は姉を探すことである。

ロクス
 炎を操る少年。
 赤茶色のツンツンとした髪型をしている。
 年齢はレイトと同じ10歳
 ルアルのペンダントを盗んだのが始まり。
 ひょんなことから一緒に旅をすることに。
 レイトとは違い、自分が生きるためなら、他人がどうなってもいいと思ってる!

レイトたちは、次の村に向かって歩いていた。
今回は迷うことなく、道を歩いている。

ルアルが先頭を歩き、道なりを行く。

周りは木々に囲まれており、木々の香りが、心を穏やかに安らぐような気持ちにさせる。

と思いたかったが、そんなことはない。

ロクスが大きな声を上げた。

「俺の方が上手くできてる!」

そう言ってロクスが左手に持った木の枝の先端に着いた火を大きくした。

それに張り合うようにレイトも声を上げた。

「俺だって、それくらいできる!」

レイトも自身の雷を強く先端に集中して燃やす。

お互い睨み合い、手に持った火のついた木の棒を見せつけていた。
そんな2人の前を歩くルアルは、ため息をつく。

「はぁ…」

ルアルとしては落ち着いて、次の村に行きたい。

だが、それを拒む後ろの2人。

ロクスが加わってから、レイトが何かするごとに、張り合い、いがみあっている。

レイトと張り合っているロクスは、ルアルに強く訴えかける。

「おい!これはもう完璧だ!新しいやつを教えろ!」

ルアルは嫌々になりながら、後ろを見た。

そこにはレイトとロクスが早くと言わんばかり、見つめてくる。

もう一度、ため息をついた。

なぜ2人がこのようになっているか、それを説明しよう。
時を少し前にして、ルアルは思い出す。

この時も先頭をルアルが歩きながら、後ろでレイトとロクスは声を上げていた。

「俺の方が身長が大きい!」

「いや!俺の方がでかい!!」

「いや、俺だ!!」

「おれだ!!」

レイトとロクスは、どっちが身長が大きいかで張り合っていた。

その張り合いの騒がしさにルアルは、頭を抱えながら歩いている。
レイトがルアルに声をかけた。

「ルアル!俺とロクスどっちが大きい?」

振り向きたくないけど、振り向くルアル。
その前には2人で胸を張って大きく見せようとしている姿を見て思う。

(な…なんて…馬鹿馬鹿しいの……)

この3人の中で一番身長が大きいルアルは呆れる。
そして2人を見て答えた。

「どっちも同じ」

そう言われると2人同時に答えた。

「「なに!?」」

ロクスとレイトは、また睨み合う。

「じゃあ、次は足の大きさだ!!」

ロクスがそう言うとレイトは頷く。

「いいだろう!!」

そう言って足を比べようとする姿を見てルアルは思った。

(いつまで…このくだらないやりとりするのよ…!)

そう考えた時、ルアルの頭に一つ思いつくことがあった。

(これなら!!集中して黙るはず!)

ルアルは、歩みを止めて、2人の方へと振り向くと一度「コホン!」と咳をする。

「強くなれてお互い競い合えるとっておきのものがある」

「「それはなんだ!?」」

睨み合う2人は、同時にルアルの方へと振り向く。ルアルは、笑みを浮かべると、ちょうどよく足元に落ちていた木の枝を拾ってみせた。

「レイトなら知ってると思うけど、これよ」

ルアルは、持った木の棒を前に持ってくると先端に火をつけた。

その姿を見てレイトは何のことか納得した。
そんなレイトの反応とは、逆にロクスは言う。

「何してんだ?」

すると、ルアルが説明した。

「私の魔法で木の先端に火をつけるのよ」

すると、ロクスはさらに頭を傾けた。

「魔法ってなんだ?」

すると、ルアルが目を輝かせ説明しようとする。だが、レイトは慌ててそれを止めた。

「あー!木の先端に火をつける訓練だ!!」

何よ、と言わんばかりにルアルは睨む。
だが、ルアルの説明を聞いたところで、ロクスが理解できないことを察して止めたのだった。

レイトは場を仕切り直して木の枝を掴んで掲げて、先端に集中する。

すると、木の先端がバチバチと雷が走り、火をつけた。

「これだろ!」

レイトは自慢げに答える。
それに反抗するようにロクスは言う。

「木の先端に火をつけるだぁ?そんなもん朝飯前だ!!」

ロクスがそう言うと、地面に落ちた木の枝を探して拾い上げる。

そして、レイトと同じよう掲げて、木の枝に火をつけようとする。
だが、一瞬にして木の枝は炎によって燃え尽くしてしまった。

「なっ…!?」

ロクスは失敗したことに言葉を失った。
それを見て、ルアルは頷く。

「あんた、やっぱり力のコントロール上手くできてないんでしょ」

「うるさい!これくらいできる!」

そういってもう一度地面に落ちている木の枝を持つがまた燃やし尽くしてしまう。

「くっ!」

「ダメダメね!木の枝を自分の体の一部だと思うの!目を瞑って意識して」

ロクスは、悔しいそうにしながら目を瞑って言う通りにする。

「そのままゆっくり呼吸して」

言われた通り、息を吸って吐く。

「次は意識を木の先端に集中して、火をつけるのよ」

ロクスは考える。

(木の枝は自分自身。そして炎の力も自分だ。)

呼吸を忘れず、木の先端に集中する。
手ではなく、微かな温かみが手の平に集中する。
ゆっくり目を開けると、木の枝の先端には、火が灯されていた。

それをルアルは見て驚いた。

「できてるじゃない!」

ロクスは、自信満々に答えた。

「ふん!これくらい簡単だ!」

そう言った矢先、すぐさま火は消えてしまった。
ロクスは呆気に取られた顔をしている。

「まだまだ集中力が足りてない。」

「くそっ!」

悔しそうに叫ぶ。
もう一度木の枝を拾いに地面を見つめている。

(思ったより、早くできそう…)

ルアルはより時間を稼ぐために、一つ閃いた。

レイトは自慢げに木の枝を持って先端に火を灯した。

「俺はもうできる!」

ロクスは悔しそうにしながら、木の枝を拾ってまた目を瞑る。
集中して火をつけようとする中、レイトにルアルは言った。

「あんたも一緒にやりなさい!」

「なんでだ!」

ルアルは、レイトを睨みつけ強く言った。

「長く集中してコントロールできるようにするためよ!木の枝が全て燃え尽きるまで、火を灯し続けるの!」

そう言ってルアルは前を向いた。

「え〜」

そう残念そうに答えるレイトに対して、ロクスは煽った。

「俺に負けるのが怖いんだろ」

「そんなわけあるか!」

レイトは木の枝を拾うと集中して木の枝の先端に火を灯す。

そして、ビリビリと雷を光続けさせた。

ロクスも自身の火を先端に灯す。
一つ集中が途切れれば全て燃やし尽くしてしまいそうになるのをなんとか抑える。

そして2人で木の枝に集中している。

そんな姿をルアルは見て思う。

(よし…!さっきみたいに騒がしくならない…!)

レイト達に元気よくルアルは言う。

「それを続けながら、村に向かって歩くわよ!」

「わかった!」

レイトは返事をした。

そうして黙らせることに成功したと思っていたが…

すぐに木の枝に火を灯す術を覚えた二人は、いつの間にか互いに競い合うようになり、思い思いに火力を上げて張り合っていた。

そして現在、また騒がしさが増していたのだ。
ロクスは叫ぶ。

「はやく!次を教えろ!」

それに応えるようにルアルは言う。

「それを村につくまで灯し続けてって言ったでしょ」

だが、ロクスは首を振った。

「そんなもんつまらん!」

そう言って持っていた木の枝の灯火の火力を上げて、すべてを灰に変える。

「こんなん簡単なもので、暇を潰せるか!!」

レイトもそれに乗っかる。

「そうだ!これは俺も最初からできる!」

ルアルは2人から言い寄られ、恐怖に満ちた顔で叫ぶ。

「もういやああああ!!」

そう言って前を走る。
レイトとロクスは目を丸くして、追いかける。

次の村までは、あと少し。
ルアルは耐えられるのだろうか。

あけましておめでとうございます。
2ヶ月ぶりの投稿になってしまいました。
待ってた人申し訳ない
今回から新しいお話として、悪徳魔術師と傭兵編を書きます。
よろしくお願いします
今年には王都に辿り着きたい

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