24.療院で目覚めたレイト!

小説
主要な登場人物
レイト 
 雷を操れる少年
 じいちゃんの言いつけで王都へと旅立つ
 また正義に生きることを目指している。
ルアル 
 魔法を使う魔術師の少女
 レイトとは旅の途中出会い、
 一緒に王都を目指す。

リモク村の登場人物
ルシィ 
 リモク村の宿屋を営む女性。
スバン
 ルシィのお父さん。傷だらけで登場
ニンバス 
 リモク村の木こりをやっている若い青年。
 実はルシィの幼馴染

魔物
ゴブリン
 基本はレイトと同じくらいの小さい魔物。しかし力はものすごく強く、ただの大人でも引けを取らない。大きいサイズもおり、そちらは力があまりにも強く成人男性が立ち向かっても、すぐにやられる。

大きな魔物
 大きなゴブリンよりもはるかに大きい5メートルはある魔物。
見た目もゴブリンとは全く違う。お腹は大きく丸く、その中央には大きな口がついている。またお腹の上には小さい顔がある。手は太く地面につくまで長い。大きなゴブリンを片手で握り潰すことまでできてしまう。

前回のあらすじ
 レイトとニンバスは大きな魔物を倒すことに成功した。だが、力尽きた2人は倒れてしまう。そこから後ほど来たスバン率いる村人達に救われ、洞窟から脱出することができたのだった。そして2人は村へと連れ帰った。

時は流れ、レイトは目を覚ました。

レイトは目の前にある天井を見て、思わず上体を起こす。

「ここはどこだ!!」

勢いよく起きて叫ぶレイトだったが、周りが洞窟ではないことに驚いた。

どこかの部屋のベッドの上にいる。

そんな自分を見て目を丸くする。

着ている服が変わっており、見たことのない普遍的で焦茶色の服が着せられていた。

最後の記憶は洞窟の中で倒れたとこだ。
その後、どうなったかわからない。

そこでじっくり考えてみると、答えは一つしかなかった。
ここはリモク村になる。

「どうやら、村にいるのか」

レイトは1人で相打ちを打って納得すると、勢いよく階段を駆け上がる足音が聞こえた。

「レイトくん!起きたのか!」

そう叫ぶ声と共に扉を強く開けたのはニンバスだった。

「ニンバス!!」

レイトも一緒に叫び返した。

ニンバスは、布を首から通して右腕を三角形にぶら下がるように固定されている姿をしていた。左手は包帯だけが巻いてある。

だがそんな怪我はどうでもよなるほど、レイトはとても喜ぶ姿を見せていた。

「よかった!生きてたのか!!」

そう言って身を乗り出そうとすると、ニンバスの背後から誰かがレイトをベットに押しつけた。

「まだ安静にしなさいよ」

この声は聞き覚えのある声だ。

「ルアル!!」

そう叫ぶ姿に、ルアルはソッポを向きながら答えた。

「いちいち人の名前を叫ばないでよ」

すこし照れ臭さを隠そうと冷たく演じるルアルだが、レイトはそれに気づかない。

「ルアルが無事でよかった!」

そう言うレイトにルアルは頭を掻く。
照れくさいのかモジモジしながら口を開く。

「レイトだってかなり無茶したようだけど、無事でよかったわよ…」

レイトは目を輝かせながら何回も頷いていた。
そんな姿をニンバスは見ながら微笑んでいた。
レイトは元気そうな2人を見て言う。

「よかった!2人とも無事で!」

安堵するのはレイトだけではなくニンバスもルアルも一息ついていた。

どうやらみんな不安だったらしい。

「たまたまここの療院に訪れたのに、目を覚ますなんて都合がいいわね」

そう言いながらルアルは笑っていた。
ニンバスもそう頷いていた。

そんな2人の姿を見て、レイトも笑う。

「そういえば…」

レイトが思い出したことを言う。

「ルシィはどうなったんだ!?」

それはルシィの安否だった。
あの後洞窟で別れてから、どうなったかわからない。
そんなレイトは不安が募っていた。

だが、それもすぐに解消されることになる。

ルアルは笑みを作りだすと、答えた。

「無事よ!」

それを聞いてレイトはどことなく力が抜ける感覚があった。

「よかったぁ…」

安心したため息と同時に出る。
ニンバスも続けて話す。

「なんならもう宿屋に戻って、村の復旧作業を手伝っているからな」

「そうなのか!」

レイトは関心していた。

「これでなんとかみんなで生きて帰れる約束を果たせたな!」

そう言ってルアルを見ると、照れくさそうに
自身の頬を指で掻いていた。

「約束って…もう起きて早々元気だねあんたわ」

レイトのこのはしゃぎようには少々驚きを隠せないでいた。
レイトはなりふり構わず笑っている。それほどみんな無事で生きて帰ってきたことに喜んでいたのだ。

「ルアルは傷、大丈夫なのか?」

そう聞くレイトに澄ました顔でルアルは答える。

「ええ別に特段ないわよ。ただ慣れないパンチをしたせいで拳が痛いだけ」

そういって手の甲をヒラヒラと見せつける。
何も問題なさそうなルアルを見てレイトは安心した。
そんな中、ニンバスはレイトの足を見て言う。

「レイトくんの傷は大丈夫なのか?」

ベットに倒れているレイトの足を屈むように覗き込む。

包帯でぐるぐる巻きにされているが、血が滲んでいるわけではない。

それをルアルも一緒に見る。

すると、ルアルはレイトの右足に触れ、包帯を勝手に解いてしまった。

「ルアルちゃん勝手に包帯取ったら…!」

ニンバスの意見も聞かず、包帯を取った先にあったレイトの右足はほとんど傷がなくなっていた。

「あんたの傷、治るの早いわね」

それに対してレイトが言う。

「ルアルが魔術を使ったんじゃないのか?」

ルアルは首を横に振った。

「私はレイトに魔術を使ってないわ。使うほど余裕がなかったから」

彼女は村人たちの傷を治すことに専念していたため、レイトの足の傷は後回しにしていた。

それなのに、この早い回復力には驚きを隠せない。
ニンバスも目を丸くして言う。

「普通なら1週間ほどかかるんじゃないか…?」

2人とも頭を傾げていた。
レイトも困惑しながら、確かに自分の足の治りが早いことを自覚する。

「うーん、どうやら俺は頑丈にできてるらしい」

そうレイトが呟くと、ルアルは腑に落ちなさそうにしている。
しかし一旦目を閉じて、何かを考えた後に答えた。

「まあ、とりあえず傷は問題なさそうね」

ルアルは気にせずにレイトにそう語りかけると、足の包帯を全てとってしまう。

無論両足の傷は治っていて、元のように綺麗なままだ。

それを見たレイトは、自分の体の傷は完全に治ったのだと思って、ベットから足を出して立ち上がろうとする。

「よし!俺も外に…」

と言った途端に体へ電流が走った。
この電流は雷ではなく筋肉痛のような痛みだ。

レイトはするするとベットの方へと倒れた。

「ぐぬぬぬ」

唸るレイトを見てルアルは言う。

「やっぱり、まだ安静にしてた方がいいわね」

ニンバスも頷いて言う。

「きっと戦いの疲労がまだ残っているんだ」

レイトは納得がいかないような顔をしていた。

「俺はもう元気なのに…」

レイトは悲しそうに呟く。
火傷の傷は無くなったが、体に突き刺さるような痛みは残っている。

「きっと今日安静にしてたら明日には治るから安心しなさいよ」

優しく答えるルアルに、レイトは静かに頷いた。

その後は、少しばかりの間、別れの挨拶をしてニンバスとルアルは、レイトの部屋から出ていった。

1人になったレイトは、先ほどとは違い静けさだけが残った。
そして暇そうにベットに横たわりながら、天井を見上げる。

ふと大きな魔物と戦った時のことを思い出した。

(あの時、俺の雷は…)

レイトの発した雷は燃え盛る炎の中でも自分を守ってくれたことを思い出す。

普通なら炎に焼かれてレイトも黒焦げになってしまうはずだった。

だがそれを防いだのは自分自身の雷だ。

なんとも不思議な力だ。

普通雷は炎を跳ね返す力があるわけではない。
なぜなら雷が落ちれば、あたりに火を放つことができるからだ。

それなのに、あの時、炎の中でも自分だけを守る役割をしてくれていた。

なぜなのかわからない。

レイトは自分の力のはずなのに、何ができるのかさえもわからなかった。

わからかいことだらけだが、今回の経験を通して、以前よりも自分の雷の力が扱えるようになった気がしている。

「この力いったいなんだ」

ルアルの魔術を間近で見たからこそ思うのは、魔法とはやはり別の力な気がする。

だが、それならこの力はどこから生まれたのか。

それを考えるには、答えが見つからず途方に暮れそうになることがわこると、レイトは考えるのをやめて、目を瞑った。

そして気づけばすぐに眠ってしまっていた。


エピローグがマジで書けないので誰か助けてほしい

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