31.似ている2人

小説
主要な登場人物
レイト 
 雷を操れる少年 
 年齢 10歳
 じいちゃんの言いつけで王都へと旅立つ
 また正義に生きることを目指している。
ルアル 
 魔法を使う魔術師の少女
 年齢 11歳
 レイトとは旅の途中出会い、
 一緒に王都を目指す。
ロクス
 炎を操る少年。
 ルアルのペンダントを盗んだのが出会いの始まり。
 自分が生きるなら、他人がどうなってもいいと思ってる!

前回のあらすじ
盗賊たちは、突然現れたロクスによって倒された。
だが、そのロクスが実はルアルのペンダントを盗んでいた。ペンダントを返すようレイトは、ロクスに言うが、それを了承せず、最終的にはルアルの魔力を込めたパンチで、倒された。

レイトたちは、あれから村を出た。
今は林の中、次の村に続く道を歩いていた。

「あいつは、なんだったんだ…」

レイトが独り言を言う。

あのロクスを目前にした時に、何か妙に胸騒ぎがする。
それが何故だか疑問に思えていた。

「知らない、なんかレイトとそっくりだったよね」

顔は、違えど、体型はかなり近い。
だが、レイトが不満そうにする。

「そうか…?俺の方が少し大きかったぞ!」

「へー」

よくわからないところで、張り合う姿に飽きられる。

「あと一つ似てるとこあった」

「なんだ?」

そう言うとレイトは、耳を立てた。
そして答えはこれだ。

「レイトと同じバカっぽい」

なにー!と言わんばかりに、レイトは怒り出す。

「あんなやつより俺の方が賢いだろ!」

それに続いて、もう1人の声が聞こえた。

「こいつより、俺の方が頭がいい!」

2人は、思わぬ声を聞いて、一瞬思考が停止した。

そして声の聞こえる後ろの方へと振り向く。

そこには、先ほど村で出会ったロクスが、木の上に立っていた。

「お前ら、やっと見つけた!この腹の痛み、絶対に許さん!」

ロクスは、木の上から飛び出そうとする。

しかし、足を滑らせ、そのまま落下した。

地面に叩きつけられる。

「いたっ!」

それを目前で見た2人は、何も言えない空気になっていた。

「やっぱりレイトよりバカそう」

ルアルがそういうとレイトも無言で頷いた。

ロクスは、気を取り直して立ち上がると、2人を見る。

「ふざけやがって!!この恨み絶対忘れない!」

「恨みって…自分で落ちたんじゃないの」

「そうだそうだ」

ルアルの一言にレイトも頷く。

それを聞いて、ロクスは、イライラを募らせる。
そんなのお構いなしに、ルアルは言った。

「ほっといて、行きましょう。」

前を向いて、再度歩き始めた。
その光景を見てロクスの怒りが込み上がる。

「お前ら!舐めてんじゃねえ!」

それでも無視して歩き続ける2人を見て、ついに堪忍袋の尾が弾かれた。

「っ!!いいもの見せてやる!!」

左手のひらを上に向け、そこに意識を集中させる。すると、その上に炎の塊が浮かび上がった。
それは手のひらに収まるほどの大きさだ。

ルアルは、魔力を感じて振り向く。そこには自分たちに向けて火の塊を投げ飛ばすロクスの姿があった。

ルアルは、咄嗟にレイトを押し倒す。

「いたい!……なんだ!?」

火の塊は、ルアル達の立っていた場所を通過し、その先の草原に燃え広がった。

2人は、ロクスを見る。

「無視をするな!」

そして右手にも、作り出していた炎の塊を、また投げ飛ばす。

それを見て、ルアルは杖を取り出すと、青い魔力の玉を放った。

炎の玉と魔力の玉が衝突し、互いに打ち消し合う。

その光景を見て、ロクスは目を丸くした。

「お前も変な力が、使えるのか!」

それは、レイト達もロクスに対して、同じ感情を抱いていた。
ロクスは、好奇心が刺激されたのか、少し笑みを浮かべる。

「なら、これはどうだ!」

先ほどよりも2倍大きな炎の塊を作り出した。

ルアルは、立ち上がり魔力を放つ準備をする。
だが、その前にレイトが立った。

「俺が、あいつを吹っ飛ばす!だから、ルアルは後ろで見ててくれ!」

「なんでよ」

ルアルは、レイトの行動に疑問を持つ。
それに答える。

「やっぱり、あいつには何か感じる!だから、俺がなんとかしたい!」

そう言って、自身の剣を地面に置くと、ロクスの元へと駆け出した。

「あっ!…どういうことよ!よくわかんないわよバカレイト!」

レイトが駆け寄ってくるのを見て、ロクスは、狙いを定める。
そして火の玉を投げ飛ばした。

レイトは、それを身を屈んで交わした。

炎の塊は、道中に落ち草木が燃え上がる。

それを背景にレイトは、立ちすくむ。
そロクスの元まで、3メートルほどだ。

だが、そこには笑みを浮かべるロクスが立っていた。

「村では、よくもやってくれたな!」

それに対して、レイトは答える。

「あれは、俺じゃない!ルアルがやったことだ!」

「ルアル?あの後ろの女か!俺と同じく、妙な力を使うやつだな!」

笑みを浮かべながら、興味津々な様子だ。

そこへレイトが割り込んだ。

「妙な力は、ルアルだけじゃない!」

バチバチと雷を体から解き放つ。
それを見て、ロクスは、目を丸くした。

「なんだその力…!?」

驚くロクスに、レイトは言う。

「さっきから周りに迷惑をかけることばかりしやがって!俺がお前をぶっ倒したら、悪いことするのはやめろ!!」

そういうとロクスは、鼻で笑った。
そして拳を握りしめると答えた。

「なら、やってみろ!!」

2人は、拳を構え合う。

今、炎と雷を宿す少年たちの対決が始まる。

ちょっと久しぶりの投稿になってしまいましたが、毎週投稿するように心がけます。

コメント

  1. いつも配信してくれてありがとう
    感謝しているよ

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