主要な登場人物
レイト
雷を操れる少年
年齢 10歳
じいちゃんの言いつけで王都へと旅立つ
正義に生きることを目指している。
ルアル
魔法を使う魔術師の少女
年齢 11歳
レイトとは旅の途中出会い、一緒に王都を目指すことになる。
魔法の世界からやってきた魔術師。
ロクス
炎を操る少年。
ルアルのペンダントを盗んだのが出会いの始まり。
自分が生きるなら、他人がどうなってもいいと思ってる!
前回のあらすじ
レイトとロクスの戦いに決着がつく。最後はレイトの頭突きが勝敗を決めた!だが、その後2人して倒れるのだった。
それから時は立ち、レイトは目を覚ます。
目の前にはルアルが立っていた。
「あっ、目覚めた!」
「…あれ俺は…」
仰向けで寝かされたレイトはそう呟く。
「あんた、あのロクスとか言うやつに戦って、気絶したのよ!」
それを聞くや否や急いで背を起こす。
「あいつは!?」
ルアルは指をさした。
その先はレイトの後ろだ。
「まだ眠ってるわよ」
後ろ振り向くと、そこには倒れたままのロクスがいた。
ロクスは仰向けで眠っている。
それを見たレイトは、笑みを浮かべて喜んだ。
「よっしゃ!俺の勝ちだ!!」
素直に喜ぶレイトに対して、ルアルは怒りを露わにしていた。
「よっしゃじゃない!!あんたたちやりすぎよ!あたりが酷いことになってるじゃない!」
周りを見回すと、炎は上がってはいないが、草木は黒く焦げている。
「あんたたちが倒れた後、私どんだけ魔法使ったと思ってんのよ!!」
それを聞いて申し訳なさそうに頭を下げた。
「わ、悪い…傷も治してくれたんだろ?」
「当たり前じゃない!」
ルアルは、そっぽ向いて答える。
体の痛みがほとんどない。
ルアルが一生懸命に得意ではない回復魔法を使ったのだろう。
それがレイトにとって嬉しく感じた。
傷も治ったので、レイトは立ち上がると、 ロクスを見る。
「それで、こいつどうすんだ?」
2人は倒れているロクスを見た。
ロクスの傷も治っている。
ルアルが2人一緒に治したのだろう。
当人はすっかり眠りについている。
そんな姿を見て、ルアルは素っ気なく答える。
「まあ、ここに置いて行ってもいいんじゃない?」
「うーん…それはダメだ!」
「なんでよ!」
「こいつがまた悪いことしないように、ここでビシッと伝えなきゃダメだ!」
レイトの考えに納得はできないルアルは、頭を抱えた。
そんなことを気にせずレイトは、ロクスの元まで歩く。
「え、絶対めんどくさいことになるわよ…」
そう言ってもレイトは、聞く耳を持たない。
ロクスの元へ行くと、息を吸う。
そして大きな声で叫んだ。
「起きろ!!!」
それにびっくりするルアルは、レイトに近づいて、頭を叩いた。
「いきなり大きな声で叫ばないでよ!」
レイトは、一言謝った。
そんな中、ロクスの肩がビクッと震わす。
それに気づいた2人は、少し構え気味にロクスにを見る。
ロクスは、徐々に目を開ける。
「…俺は……」
今何が起きているかわかっていない様子だが、目を開けた先に映るレイトの顔を見て、飛び上がった。
「お前は!!」
飛び上がると、レイトとの距離を取った。
「おい!ロクス!お前は俺に負けた!」
レイトがそう言う。
当然ロクスは納得していない。
「なんたと!俺がお前に負けるわけがねえ!」
ロクスは立ち上がると構える。
「まだ勝負はついてない!!」
そんな姿にレイトも張り合う。
「なら…もう一度」
そう言いかけた途端にルアルが遮った。
「もう!いい加減にしてよ!!あんた達2人が気絶してたんだから、どっちも負けでいいでしょ!!」
それを言うと、2人はルアルの顔を見る。
「なに!?」
「それを言うな!!」
ロクスは笑みを浮かべると、レイトを見る。
「お前も気絶してた?なら、この勝負は決まってねえ!」
「お前が先に気絶したんだから!お前の負けだ!!」
「どっちも気絶したなら、おあいこだ!」
お互い睨み合う。
そんな姿を見て、ルアルは呆れる。
「もう、いつまでやるのよ!」
そう言って、2人の間に入って、争いを止める。
それに対してロクスは怒った。
「邪魔するな!!」
大きな声に、ルアルは首を少し傾けた。
そしてロクスを睨むと言う。
「ねえ!私があんたの傷を治したの、わかってる?」
指をロクスに押し当て言う。
それに対してロクスはそっぽを向いた。
「知らん!そんなの関係ない!」
ぐぬぬとルアルも怒る。
「こいつ、人の恩義も知らないで!!」
それを聞いて、ロクスは鼻で笑った。
「じゃあ、次はお前が俺と戦ってもいいんだぞ?」
そう挑発に、ルアルは乗っかることにした。
「いいわよ!じゃあ、次は私が貴方を倒してあげる!!」
拳を握りしめるルアル。
それを見てレイトが言う。
「お、おい…ルアル、やめた方がいいんじゃないか!?」
「いやよ!こいつをわからせなくちゃ!」
「そうだよな!ならかかってこいよ!」
そう言ってロクスは、後ろに飛び上がって、距離を取る。
そして、炎の塊を作る。
「くらえ!!」
そう言って、ルアルに向けて投げ飛ばす。
だが、炎の塊は一瞬にして消えてしまった。
「あれ…?」
先ほどの戦いで、ほぼ炎の力を使い果たしていた。
そんなことは、お構いなしにルアルは走り寄る。
右手には、魔力を込めた拳を構える。
「ま、待て!!」
そう叫んでも、怒ったルアルは止まらない。
「くらえ!マジカルアッパー!!」
ルアルは、構えた拳を顎目掛けて突き上げる。
それにロクスは、成すすべなく完全完璧顎にクリーンヒットした。
「ごばッ!!」
ロクスはそのまま後ろへ吹き飛び、仰向けで倒れた。
「ふぅ」
ルアルは、どこか清々しそうにしながら手を払いのける仕草をして、ロクスを見下ろすと言った。
「行きましょう」
そう言って振り返る。
「え、置いて行くのか…?」
このやりとり前にもあった気がするが…
気にせず、ルアルの後ろをついていくことにした。
だが、すぐに後ろから声が聞こえた。
「……俺も…ついていく…」
「え…?」
2人は、後ろを振り向いた。
そこには子鹿のように足を震わせたロクスが立っていた。
ロクスは、再度真っ直ぐレイトたちを見て言う。
「俺もついていく!!」
「「なんでだよ!!」」
レイトとルアルは驚きのあまり、同じ言葉を上げた。一瞬ふざけているのかと思ったが、ロクスは本気のようだ。
「…お前らを見失って勝負が付かないのは、嫌だ!だから、お前達について行く!!」
「はぁ!?」
ルアルは、頭を掲げた。
それと裏腹にレイトは言う。
「まあいいんじゃね?」
その言葉に驚いて、ルアルは振り返った。
「なんでよ!絶対めんどくさいじゃん!」
レイトは、確かにと相槌を打つ。
だが、それとは別に気にかけていることがあった。
「俺は、こいつが悪いことをし続けるのは、ほっとけない!」
「なんで、あんたそんなにこいつに肩入れするのよ!?」
「わかんねえ、でもそう思うんだ!」
レイトはロクスの元へ行く。
目前まで来ると、ロクスを見た。
「俺たちの旅に着いてきてもいいけど、次の勝負で決着付くまで悪いことするな!」
「なんだと!」
「それを守れないなら、次の勝負には乗らない!」
ぐぬぬ、とロクスは言いたげだった。
だが、次の勝負に勝ちたいのか、気持ちを落ち着かせる。
そしてレイトを指差して答えた。
「わかった!!その代わり俺が勝ったら、次は好きなようにさせてもらうからな!!」
レイトは、頷いた。
「よし、じゃあ旅に出る準備をしろ!」
「命令するな!」
また2人で歪み合う。
ルアルは頭を抱えながら思うのだった。
(大丈夫なの…この旅……?)
それがどうかは今後のお話でわかるだろう。
こうして、ロクスはレイト達の旅についていくことになった。
炎の少年編完
炎の少年編完結しました。
まさかのロクスが仲間になると思いませんでした。
次の話もある程度できたら投稿していきます。
少々お待ちください。

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