主要な登場人物
レイト
雷を操れる少年
じいちゃんの言いつけで王都へと旅立つ
また正義に生きることを目指している。
ルアル
魔法を使う魔術師の少女
レイトとは旅の途中出会い、
一緒に王都を目指す。
前回のあらすじ
宿屋に泊まった2人。
朝食を食べてルアルがお風呂に入っている間に、何者かが窓を割って侵入。
ルアルのペンダントを盗むと逃げてしまった。
騒動から少し時間が経った。
今は宿を出てレイトとルアルは、旅の食料を買いに、店へと向かっていた。
宿屋では、受付のおばさんが優しかったこともあり、割れた窓よりも、ルアルやレイトを心配してくれた。
それに申し訳ないと思ったルアルは、宿を出る時に、いつもより多めのお金を渡しておくことにした。
レイトは、あの後、少し気絶していたが難なく復活することができたようだ。
ただ今もお腹をさすっていた。
「くっ…いたむ」
「ごめんね、まさかちょうど良く現れるとは…」
気まずそうに謝りながら、レイトは慰める。
「とりあえず食料買って、村を出発しましょう」
いつもより優しく伝える。
だが、レイトは疑問を感じて、首を傾げた。
「…いいのか?何か盗まれたんじゃなかったのか?」
「ええ、盗まれたけど…まあ良いかな」
思ったより平気な顔をして答えるのに、少しレイトは驚く。
ルアルは話を続ける。
「旅に出るときに、心配になった大魔女様が、私に、お守りとしてくれたのよ」
澄ました顔で答えるルアルは、渡された時のことを思い出していた。
『これを、持っておきなさい。もし貴方が大変な危機に陥った時、きっとこのペンダントが守ってくれるはずよ』
優しく丁寧に答える姿は、まるで孫を心配するおばあちゃんのようだった。
「まあ、でも…旅に出る前は、よくも私をしばいてくれてたから、別にいいわよ!」
嫌な過去を思い出すように引きつった顔を浮かべる。
それを見たレイトは、相当大変な目にあったんだと思うのだった。
村の食料が売ってるお店につく。
お店は露店のようになっていおり、食料が並べられていた。
ルアルはその前に立ち、カンパン、ナッツ、干し肉などを手に取って、お店の店主とお話をしている。
レイトは、一歩下がって、突っ立っている。
「また、胸騒ぎがする」
そう小声で呟く。
もう慣れてしまったのか、大きな不安には感じないが、この村に来てから、やたらと起こる。
この現象が、わからずじまいだ。
「もしかして、病気…」
不安な想像をするが、頭を振って忘れることに。
すると、突然大きな声で叫ばれる。
「おい!見つけたぞ!!」
レイトは、その方向に目を向ける。
そこにいた男たちを見て、レイトは目を丸くした。
「久しぶりだな、小僧」
不敵な笑みを浮かべる複数人の男たちが立っている。
その集団を見てレイトは、黙ったままだ。
「ふっ、昨日俺の仲間が、宿に入るのを見つけたと聞いて、急いでこの村にやってきたぞ」
興奮気味に言う男だが、レイトは以前として黙ったまま、男を見続ける。
そしてやっとの思いで、口を開いた。
「誰だ?」
……静まり返るこの場に、ひとつ風が吹いた。
食料を買い終えたルアルはレイトの方へ振り向く。
「ごめん、少し遅くなった。ちょっと次の村への道をきいてたのよ…ん?」
レイトが、男の集団に視線を向けてることに気づき、同じ方向に視線を向ける。
「あっ…」
ルアルも男の集団を見て、目を開いた。
「誰、この人たち」
男たちは、すっ転んだ。
「レイトの知り合い?」
「いや、俺も知らん」
大柄の男は言う。
「忘れたとは言わせないぞ!俺は、お前のせいで、酒場で大変な目にあった盗賊だ!!」
そう言われてレイトは手を叩いた。
「あー、そう言えばいたな」
ルアルも、確かにと言わんばかりに頷いた。
レイトは大柄の男見て言う。
「もう何年も前だから忘れてた」
堪忍袋の尾が切れたように、男は大声で怒りだした。
「ふざけるな!まだ半年も経っていないぞ!」
「そうだっけ?」
レイトは頭を悩ませた。
ルアルも頭を傾けている。
「ええい、ふざけたことを言いやがって」
大柄の男は、舐めたガキだと言わんばかりに、睨みつける。
だが、レイトたちは何にも気にしていない。
「それで、俺たちに、なんのようだ」
そう伝えると、男は不敵に笑みを浮かべる。
「そりゃあ、お前に用があるって言ったら、一つしかないだろ?」
後ろにいる仲間も不敵に笑った。
レイトは首を傾げた。
「復讐だ!!」
そういうと、後ろにいた仲間たちが、飛び出してきた。
「今度はちゃんと4人いるぞ」
そう男が言う。
仲間は、4人いて、それぞれナイフやハンマーと言った武器を持っていた。
そしてすぐさま、レイトに駆け寄る。
だが…
その光景は虚しく、レイトは剣を抜くことなく、仲間たちを返り討ちにしたのだった。
男は、唖然としている。
「くそ!貴様ら役立たず目が!」
レイトは、ふぅと一息つくと言う。
「おい、お前らか!ルアルのペンダントを盗んだのわ!」
そう言って指を指す。
「ん?」
男は、何のことかわからなかった。
(なんのことだ?ペンダント?知らんぞ…)
頭を傾けそうになる。
しかし、ここで脳裏に良いことが思いついたのだ。
(これだ!これを利用すれば、こいつを叩きのめせる!)
そう思うと、男は自信満々に胸を張り出し、レイトに、大声で言う。
「あ…ああ、ペンダントだな!よく気づいたなあ」
そういって自分の胸中に右手を入れる。
それを見たルアルは、「うえー」と言わんばかりに、嫌な顔をする。
「これだな!」
そう言って握り拳を見せつけた。
そして続ける。
「これを返してほしかったら、武器を置いて、俺の前まで来い!そしたら返してやる!」
不敵な笑みを浮かべて、挑発する。
それにレイトは、素直に頷いた。
「わかった。じゃあちゃんと返せよ」
そうレイトが男に近づく。
「別に良いわよ…もう…」
ルアルは、男の胸元に入れられたのが相当ショックだったのか、全然返して欲しそうではなかった。
しかし、レイトは、しっかり返して欲しいため、男に近づいた。
男の前までくる。
「すまなかった…やっぱり、おれはお前には勝てない。これを返すから許してくれ…」
そう言ってレイトに、握った右手を突き刺す。
「わかった、もう悪さするんじゃないぞ!」
そう言って、男の手の下に、右手の平を広げる。
男はニヤリと笑った。
そして左手を振り上げた。
「バカめ!俺がペンダントなんかもって」
瞬間、真上から男の顔を目掛けて、足が突き刺さる。
そう誰かが、男の顔に飛び蹴りをかましたのだ。
「ぐおっ」
男はそう鳴いて、地面に叩きつけられた。
第一話に登場した盗賊です。
覚えていますか?
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