3 焚火で静まる森の中
「いろいろと疲れたでしょ」
ルアルはそう言ってレイトに振り向いた。
「うん」
レイトはそう答える。
ルアルは結んでいた髪を解いて、髪を落とした。
「レイトってどこから来たの?」
「うーん、わからない」
「なんでわからないのよ!」
ルアルは、驚いた顔をしてレイトに尋ねた。
するとレイトは嫌そうに話した。
「地図を無くして今ここがどこかもわからないだ」
「ええ…なんでそんな大事なもの無くしてるの!」
「…旅の途中でいろいろあったんだ……」
察してくれと言わんばかりのレイトに、ルアルは失望の眼差しを向ける。レイトは目を逸らした。
「なんでそんなトラブルに巻き込まれてるのよ…」
「うーん、なんでだろう…困ってる人を助けてるからかな」
そんなレイトを見てルアルはため息をついた。
「貴方いちいち人助けなんてしてるの?」
「うん」
「そんなのダメ。いちいち他人事に突っ込まないのよ」
そう言うとレイトはキッパリとルアルの意見を否定した。
「いや、ダメだ!俺はじいちゃんにいい事しろって!……正義に生きることを約束したから、人を助けるんだ!」
少しルアルの方に身を乗り出しぎみになる。
しかし
「その割には、お店壊して逃げ出したよね」
ルアルの鋭い一言にレイトは身が引けてしまった。
レイトはモジモジとしている。
「うう…それは…しょうがないんだ!」
レイトは必死に言い訳を探そうとも見つかるわけもなく、ただしょうがないと言う理由に逃げた。
「あなた、すごいめちゃくちゃなやつね…」
そんなルアルはレイトに引きつった顔を見せる。
レイトは苦笑いで誤魔化した。
「そういえば貴方のおじいさんは?」
ルアルは焚き火に枝を加えると同時にレイトに尋ねる。
「じいちゃんは俺が7歳の頃に亡くなったんだ」
そう言うとルアルは申し訳なさそうな顔でこちらを見ていた。
「ごめん…亡くなっていたのね」
「いや、気にしないでくれよ」
レイトは応えた。
レイトは今でもメラメラと燃え上がり続けている火を眺めていた。
レイトの悲しそうな顔をルアルは見た。
するとレイトが小さい皮のポーチから何かを取り出した。
「亡くなった時に渡された手紙、これとこの剣はじいちゃんの形見みたいなものなんだ」
右手で手紙を持ち上げ、左手で剣を撫でていた。
ルアルはその封された手紙の柄を見て、何か見覚えのあるものに感じた。
「その手紙少し見せて」
レイトは、火に気をつけながらそっとルアルに渡した。
「ありがとう」
ルアルは、一言お礼を言って封をされた手紙をじっくり見ている。
「10歳になった今それを届けるために俺は旅に出てるんだ」
レイトは告げるが、ルアルは手紙に夢中で聞き流していた。
(宛名がフレイ・セレスティ…?誰だろう…)
ルアルは裏返して見る。封は封蝋で閉じられている。
その封蝋の紋章を見てルアルは驚いた。
「って!あなたのおじいさん王都の騎士じゃない!」
それを聞いてレイトは首を傾げていた。
「俺なんも知らないんだ…」
「なんで知らないのよ!この紋章や手紙を見るに、王都の騎士が扱う手紙じゃない?」
「うーん、騎士だったって言われても…なんなのかもよく知らない…」
ルアルはレイトの物知らな差にも驚く。
「じゃあ、この手紙はどこに届けるつもりなのよ?」
「王都の騎士街ってところに行けばわかるって言ってた気がする。」
ルアルは唖然としていた。
「気がするってなによ!なんで貴方のおじいちゃんは、何も教えてないのよ」
「剣の振り方は、教えてくれた!」
堂々とレイトは言った。
「剣の振り方って…あなたは魔術は知らないんでしょ!王都の騎士になるなら魔術は、使えるはずだし…教えてないことが謎よ」
ルアルは頭を抱えている。そんな気も知らずにレイトは少し興奮気味になって言葉を返した。
「俺だってわからない!」
それを聞いてルアルはうなずき、手で相槌を打った。
「そうね、わかんない事考えたって意味ないわ!」
レイトも数回うなずき、焚き火に薪をくべた。
火はメラメラと燃えている。
周囲は木が燃える音で響いていた。
ルアルは自分のポーチから両手の平サイズのパンを取り出した。
それを見たレイトはたちまち口から唾を垂らす。
「貴方って意地汚いの?」
そう言われるとレイトは袖で口を拭いた。
「俺実は一日中…何も食べてないんだ」
可哀想な目をしてルアルを見つめてくる。
ルアルは鬱陶しいと言わんばかりの顔すると、ため息をついた。
「わかったからそんな目で見つめないでよ」
そう言ってパンを半分に千切ると、レイトに向けて差し出した。
「はい!あげるわ!」
レイトはそそくさと受け取る。
「ルアルありがとう!!」
そう言うわれるとルアルはレイトから顔をそらした。
「べ、別にあげたいわけじゃないんだからね!」
照れ隠しの一言
しかし、そんな事を聞くことなくレイトはパンを一口でパクりと食べた。
「はぁ、やっぱり物足りない…」
レイトは、またルアルの方を見る。
パンを食べながらルアルは目を細め、睨みつける。
「あんたね、食料だって多くあるわけじゃないんだからもうあげないわよ」
レイトは肩を落とした。
ため息をついた。
「そうだよなぁ、明日は食料探そう」
レイトは悲しそうに言葉を放った。
「お腹が空くならもう寝ましょう」
「そうだな」
レイトはそのまま横になる。
ルアルは自身のマントを体に巻きつける。
その後に横になった。
「レイトは、王都に向かってるの?」
ルアルはそう尋ねてきた。
「ああ、俺は王都に向かってるんだ」
「そう…」
さっきまでとは違い小声で答えた。
ルアルは、少し笑顔になった気がした。
「じゃあおやすみ」
そう言ってルアルは目を瞑った。
レイトはそれを見て目を瞑る。
(あれ?なんで俺一緒にいるんだろ?)
よく考えればなぜ今ルアルと一緒にいるのがよくわからない。
また魔術がなんなのかも知ることができなかった。
それらの疑問に思いながらレイトは、疲労と焚き火の暖かい心地よさから眠りに落ちていった。
朝の日差しに照らされて、レイトは目を開けた。
目の前には燃え尽きた焚き火が黒い炭を残していた。
レイトは起き上がって背伸びをした。
すると後ろから声が聞こえた。
「おはようレイト」
振り向くとそこにはルアルが立っていた。
「おはよう」
彼女は事前にちぎったのであろうパンを渡した。
「それを食べたら王都に向かいましょう」
受け取ったパンを一口で食べる。
「え、一緒に来てくれるのか?」
レイトが尋ねるとルアルは笑いながら答えた。
「だってレイトの不思議な力が気になるの!それに、私も王都に向かってるから!」
そう答えるとルアルは走った。
「置いてくわよ!」
「待てよ!」
レイトは急いで荷物を持つと後を追うように走っていった。
開幕 第1章 王都への旅路
修正 12/13 素顔を消した。
12/14 呟くを言ったに変更
コメント
ルアルはそう呟いてレイトに振り向いたってあるけど、
呟くって独り言みたいやね。
振り向くのかな?
振り向くのは声を掛けられたほうじゃね?
ルアルは言ってレイトの方を見た、とかで良くね?
それ3話にある?
ありました…
ルアルの素顔少し笑顔になってた気がしたって、
どうゆうことやろうか。
ルアルの顔が少し笑顔になった気がしたってことやろうか
ミスです…
直しときます…
右手の親指と人差し指を顎の下に置いたり、手で相槌を打ったり、
なんかジジくせえ女のコやな
何か仕草があったらいいなと思った時に思いついた王道の表現です