主要な登場人物
レイト
雷を操れる少年
年齢 10歳
じいちゃんの言いつけで王都へと旅立つ
正義に生きることを目指している。
ルアル
魔法を使う魔術師の少女
年齢 11歳
レイトとは旅の途中出会い、一緒に王都を目指すことになる。
魔法の世界からやってきた魔術師。
ロクス
炎を操る少年。
ルアルのペンダントを盗んだのが出会いの始まり。
自分が生きるなら、他人がどうなってもいいと思ってる!
前回のあらすじ
レイトとロクスの戦いが始まった。炎を使うロクスに負けじと戦うレイト。決着はつくのだろうか。
「おら!」
ロクスは、左手を打ち出した。
それを顔面に食らうレイトは仰け反る。
だが、痛みに歯を食いしばりながら、右手で反撃する。
ロクスもそれを回避できず、顔面に食らう。
すると、そのまま後ろに倒れた。
お互い息が切れている。
「お、俺の勝ちだ」
痛みで辛そうになりながら言うレイト。
だが、ロクスはまだ諦めていなかった。
「俺は…まだ…負けてない!」
すると、ノロノロと立ち上がり、右手に炎の塊を作り出す。
レイトは、それを見て構える。
だが、投げ飛ばすのではなく、地面にその塊を押し付けたのだった。
すると、そこから爆炎とともに大きな爆発が起きた。
咄嗟にレイトは、引き下がろうとするも、間にあうことなく、そのまま吹き飛ばされる。
「がっ!!」
ちょうど、そのまま木にぶつかる。
レイトは、木を背にし、歯を食いしばって、前を見る。
そこには、燃え上がる炎の中に立つロクスがいる。
「お前には、俺の本気の一撃を喰らわしてやる!!」
左手を自分の目前に構える。
そこから螺旋を描くように炎が腕に結びつく。
メラメラと燃え始める拳を構えて、そのままレイトの元へと駆け出した。
レイトは、痛みで体の言うことが効かない。
「くっっっ!!」
ロクスが目前まで来ると、左手を腰まで引いて叫んだ。
「くらえ!!必殺!!豪炎拳!!」
レイトに向けて撃ち放つ。
だが、レイトは、なんか右の方へと倒れるように避ける。
すると、ロクスの放った左手は、そのまま木に撃ち込まれた。それと同時にとんでもない轟音と共に、木が爆発した。
ルアルは、驚いて目を大きく見開いてその光景を見た。
「なによこれ…!?」
レイトは、間近でとんでもない威力の拳を見て、口が半開きになっていた。
木は、ロクスの左側に倒れる。
「はぁはぁ、どうだ、俺の必殺技わ!」
ロクスは、立つのもやっとなくらい力を使い果たしそうになっていた。
そんな姿を見てレイトは思い浮かべる。
(…これは俺がやったのと同じだ)
レイトは、雷を剣に溜めた一撃を放ったことがある。それと同じで、ロクスは自身の手に炎を溜めて撃ち放ったのだ。
(それなら…俺でも…できるのか…)
ロクスは、拳を構える。
まだ、戦う意思があるようだ。
「外しちまったが、あと一撃はできる!!」
そう言って、また左手に炎の力を込める。
それを見てレイトも気合いを入れて、立ち上がる。
体の節々が痛む。
それでも、拳を構えて言う。
「必ずお前を吹っ飛ばす!」
お互い、限界に近い。
それでも、勝つために立ち向かう。
2人は互いに駆け寄った。先にロクスが炎の力を込めた左手を振り上げる。
それにレイトは、視線を奪われる。
だが、その隙にロクスは右手に小さい炎の塊を作ると、そのままレイトに押し付ける。
すると、そのまま爆発した。
「ぐあああ!」
レイトは、後ろへと吹き飛び、仰向けに寝転がった。
すかさずロクスは、その元まで行くと、次こそはと言わんばかりに、左手を打ち出した。
それに反応するように、レイトも雷を右手に込めて、ロクスの拳目掛けて撃ち放つ。
そのままお互いの拳が衝突しあう。
すると炎と雷が混ざり合った爆発した。
「ぐっっ!!」
「なに!?」
お互い吹き飛び、周辺からは煙が上がった。
吹き飛ばされたロクスは、そのまま倒れ込んだ。
体の節々が痛むが、関係ない。
それでも、ヘロヘロになりながらも、ロクスは立ち上がった。
「俺の…勝ちか…!?」
周りを見渡すと、砂煙が舞い上がっている。
「ど…どこにいる…!」
レイトの姿は見えない。
だが、声は聞こえた。
「…ここだ!」
掠れた声の方向に振り向くと、砂煙の向こうに雷が走るのが見えた。
(まだ…倒れてないのか…!)
ロクスは、左手でなんとか小さい炎の塊を作り出そうとする。
だが、煙が薄くなるにつれて、レイトが何をしようしているのか見えてくる。
レイトは、地面に手をついて、膝を曲げてしゃがんでいた。
そしてこちらを睨め付けると言った。
「次は俺だ!!くらえ!!」
レイトの地面近くに、雷がビリビリと走っている。
それを見て、ロクスは気づいた。
「…やらせるか!!」
そういって左手の小さい炎を投げ飛ばそうとする。だが、その前にレイトは地面を蹴った。
すると、雷の力で爆発的な跳躍力を見せる。
レイトは、体と地面を平行にして飛び、頭をまるで矢の先のようにして、ロクスへと飛んでいく。
「なに…!?」
満身創痍なロクスは、体が反応しない。
身を動かす前に、レイトの頭はそのままロクスの腹部に激突したのだった。
「ぐばっっっっ!」
ロクスは、くの字になって、吹き飛ぶ。
数メートル飛ぶと、そのまま仰向けで地面に落ちた。
レイトもそのまま地面にうつ伏せで落ちると笑みを見せる。
そして自信を持って言うのだった。
「…俺の勝ちだ」
これにて勝負は、レイトの勝利で終わった。
レイトは、そのまま目を閉じて意識を失う。
レイトとロクスの戦いは、決着がつきました。
炎の少年編は、あと1話で終わります。
気づけば、寒くなってる。もう生きられない


コメント
「おらっ!」
ロクスは左拳を突き出した。
それをまともに顔面に食らったレイトは、仰け反る。
だが、痛みに耐えながら右拳を振るい、反撃した。
ロクスも避けきれず、拳を顔に受けてそのまま後方へ倒れ込む。
互いに息が荒い。
荒い呼吸の合間に、レイトが絞り出すように言った。
「お、俺の勝ちだ……!」
痛みに顔を歪めながらも勝利を宣言する。
だが、ロクスはまだ諦めていなかった。
「俺は……まだ負けてないッ!」
ゆっくりと立ち上がると、右手に炎の塊を生み出した。
レイトは構える。
だが、ロクスはそれを投げず、地面に叩きつけた。
次の瞬間——爆炎。
轟音とともに大爆発が起き、レイトは咄嗟に身を引こうとしたが間に合わない。
衝撃波に吹き飛ばされ、背後の木に激突した。
「ぐっ……!」
木を背に歯を食いしばりながら、レイトは前を睨む。
炎の中、立ち尽くすロクスの姿があった。
「見せてやる……俺の本気の一撃を!」
左手を顔の前に構える。
炎が螺旋を描くように腕にまとわりつき、拳が紅蓮に燃え上がる。
ロクスは雄叫びを上げながら駆け出した。
レイトは痛みで身体が動かない。
「くっ……!」
ロクスが目前に迫り、拳を腰まで引いた。
「くらえッ!! 必殺——豪炎拳!!」
炎をまとった拳が放たれる。
しかし、レイトは本能的に体を右へ倒した。
拳はわずかに逸れ、背後の木を直撃。
直後、轟音とともに木が爆ぜた。
その光景にルアルは目を見開いた。
「な、なにこれ……!?」
レイトも衝撃を受け、呆然と口を開けたまま。
木は崩れ落ち、ロクスは膝をつきながらも笑みを浮かべる。
「はぁ……はぁ……どうだ、これが俺の必殺技だ……!」
息も絶え絶えのロクスを見て、レイトは思う。
(これは……俺が雷を剣に込めて放ったときと同じだ)
(なら……俺にもできるかもしれない)
ロクスが再び立ち上がり、左手に炎を集中させる。
「外したが……もう一撃はいける!」
その言葉に、レイトも気合を入れ直した。
全身が痛む中、拳を構え、歯を食いしばる。
「今度こそ、お前を吹っ飛ばす!」
互いに限界寸前。
それでも立ち上がり、走り出す。
ロクスが先に炎を込めた左拳を振り上げる。
レイトの視線が一瞬、炎に奪われた。
その隙にロクスは右手で小さな炎の球を作り、レイトの胸に押し付けた。
——爆発。
「ぐあああ!」
レイトは吹き飛び、地面に叩きつけられる。
ロクスはよろめきながらも近づき、渾身の左拳を繰り出した。
だが、レイトも右手に雷を纏わせ、同時に拳を突き出す。
炎と雷がぶつかり、爆発が起きた。
「ぐっ……!」
「なにっ!?」
二人は同時に吹き飛び、煙が立ちこめる。
ロクスは地面に倒れながらも、這うようにして立ち上がる。
「……俺の勝ちか……?」
あたりを見回すが、レイトの姿は見えない。
だが、かすれた声が聞こえた。
「……ここだ……!」
砂煙の向こうに、雷光が閃く。
(まだ……倒れてないのか!?)
ロクスは必死に炎を作り出そうとする。
だが、煙の中でレイトが何をしているか、少しずつ見えてきた。
地面に手をつき、膝を曲げ、低く構えるレイト。
「次は俺の番だッ!! くらえ!!」
地面を這うように雷が走る。
ロクスは悟った。
「……やらせるか!!」
左手に炎を込め、投げようとする——
だが、その瞬間、レイトが地面を蹴った。
雷の力が爆発し、彼の体は矢のように前方へ。
頭を突き出し、一直線にロクスの腹部を貫く。
「ぐばっ!!!」
ロクスはくの字に折れ、数メートル吹き飛ばされて地面に落ちた。
レイトもその場に崩れ落ち、うつ伏せのまま微笑む。
そして、かすかに呟いた。
「……俺の勝ちだ」
こうして、勝負はレイトの勝利で幕を閉じた。
レイトは安心したように目を閉じ、そのまま意識を失った。
私たちはあなたを愛し尊敬しています