44.廃れた教会のダーマ

小説
主要な登場人物
レイト 
 雷を操れる少年
 年齢は、10歳。じいちゃんの言いつけで王都へと旅立ちながら、 困ってる人を助ける。じいちゃんに言われた通り、正義に生きることを目指して王都に向かっている。

ルアル 
魔法の世界からやってきた魔術師の少女。ピンク色の髪で普段はツインテールにしている。蒼い目(通称 月の目)を持つ。年齢は11歳。レイトとは旅の途中に出会い、一緒に王都を目指すことになる。目的は姉を探すこと。

ロクス
炎を操る少年。赤茶色のツンツンとした髪型をしている。年齢はレイトと同じ10歳ルアルのペンダントを盗んだのが始まり。ひょんなことから一緒に旅をすることに。レイトとは違い、自分が生きるためなら、他人がどうなってもいいと思ってる!

メア村の登場人物
トウロ
メア村の門番をしている。生真面目な性格。

コウウ
メア村の村長。

ディーボット
ダーマ教を布教する教祖ダーマの手下?
子供すら容赦なく手を出す非道。
人が苦しむ姿が好き。

ダーマ
ダーマ教を布教するためにきた教祖。

夜も老け、空には大きな満月が浮かぶ。

月から放たれた光は、レイトとロクスが走る道を密かに照らす。2人はディーボットの元へと向かっていた。

トウロが言うに。

『あいつらは、村近くの丘の上にある森の中の廃れた教会にいる。この道を辿ればつけるはずだ』

そして最後に一つ、忠告もあった。

『だけど、気をつけてくれ。森の中には、恐ろしい獣がいる。』

『恐ろしい獣?』

『ああ、この村の悩みは、あいつらだけじゃない。ほんとに恐ろしいのは夜に現れる獣なんだ…本当はあいつらが、その獣に襲われるように、あの教会へ案内したつもりだったんだが…』

トウロは、険しい顔をしながら、レイト達に言う。

『もし危険なことになったら、すぐ引き返すんだ』

そう言って、レイト達を見送った。

恐ろしい獣。

それが何か全く想像がつかない。
ただ、ルアルを救うために走る。

丘の上にそびえ立つ森へ入る。
そこにはトウロが言った通り、廃れた教会が立っていた。

レイトとロクスは、並んで立つ。
すると突然、レイトがロクスに語りかける。

「ロクス!俺はお前に言っておきたいことがある!」

ロクスは、めんどくさそうに振り向く。

「なんだ?」

「なんで、そんなに人を嫌うのか、お前の過去になにがあったのか、俺には全くわからない!それでも…俺はお前を絶対に裏切らない」

レイトは、右手を差し伸ばした。

「だから、協力してくれ」

ロクスは、少し呆気に取られていたが、すぐに気分を戻すと、レイトの手を払いのけた。

「なにすんだ!」

「勘違いするな!俺は村の人とか、お前の仲間を助けたいわけじゃない!!」

ロクスは怒りながら続けた。

「俺は、ただあの野郎をぶっ飛ばしたいだけだ!」

拳を握りしめると1人教会へ向かう。それを見てレイトは、ため息をつくと横に続いた。

「勝手にしろ!」

2人は、教会のドアが目前に来ると、勢いよく飛び込んだ。

時を少し遡り、ルアルは…

村の宿を出た後、ディーボットにナイフを突きつけられたまま、教会まで歩かせられていた。

先ほどとは違い、落ち着いているディーボットは、やる気がなさそうだ。

「あー、めんどくせェ」

そう1人呟きながら、歩き続ける。

そして教会前までたどり着くと、ディーボットの「入れ」と言う言葉に従って、ボロボロのドアを押して入る。

廃れた教会。

そう言われただけあって、内装も老朽化している。窓やステンドグラスは割れ、満月の光が直接差し込んでくる。ドアから祭壇までの距離はおよそ30メートルほど。
そこには、1人丸い体型の男が立っていた。

「ほほっ、どうやら連れてきたようだな」

男は振り向く。

「私は教祖ダーマ。まさか子供を連れてくるとは、神の赦しがなければ耐え難い」

そんな言葉と裏腹に顔は、ニヤリと笑みを浮かべている。

「この娘はツラがいい。きっと、いい値で売れる」

ディーボットがそういうと、ご満悦そうにすると、手招きする。

「ダーマ様に、その顔をしっかりと拝んでもらえ」

言われるがままにルアルは、教会の真ん中まで歩かされ、立たされる。月の光が、ちょうどよく照らされたルアルの姿が鮮明にダーマの目に映った。

「確かに…これはイイ」

顎に手を置きながら近づいてくる。
目前に立つとじっくりルアルを見る。

「そうでしょう」

ディーボットが相槌を打って、ダーマの隣に立つ。2人の男がルアルの前に立っている。

ご満悦そうなダーマは、ニタリと笑顔を見せる。

「うーん、売る前に少し私が…」

「ねぇ、あんた?炎の奇術が使えるって言うのは?」

ルアルがいきなり問いだす。
それには少し戸惑うが、すぐさま偉そうに答えた。

「そうだが?村の人にでも聞いたのか?」

「そうよ。恐ろしいと聞いてたから気になったのよ」

「ほう、気になるなら特別に見せてあげよう」

安っぽい祭服の胸元に手を入れると小さい燭台を取り出した。そして3歩ほど後ろに下がると、ダーマは、自信満々な素顔を見せる。

「これが私の聖なる炎!サンクトニグス!」

燭台を掲げると、空中に円陣が浮かび、その中に燭台を模した魔法陣が、燃える炎の線で描かれた。

「どうだ!?私が神から与えられた力は!」

ダーマは大きく笑うと、ルアルの素顔を見る。
さぞ怯えているのだろう。あの村人達と同じように、恐怖した姿を見せてくれている。

そう思っていた。

だが違う。
ルアルはダーマを酷く睨んでいた。

それを見たダーマは心臓が捕まれたように全身が強張った。

「…!!見ろ私の力を!」

掲げた燭台を鈴の根を鳴らすように前に振るうと、魔法陣から火球が飛び出した。

それはルアルの上空を飛び、そのまま後ろの壁へとぶつかった。廃れた教会は、レンガ作りだ。そのため、引火することなく、周りの木の破片や壁の装飾が燃えるだけに留まった。

「どうだ!」

威嚇するように言う。
だが、それでもルアルの表情を変えない。

「やっぱり…あんたの力、それは神に与えら力じゃなくて、魔法でしょ」

ギクっと驚くダーマ。
横でディーボットは静かに笑っていた。

「な、貴様!魔法を知っているのか…!?」

焦るダーマは、問い詰める。
それに対してルアルはただ冷静に答えた。

「ええ、私だって魔法が使えるもの」

ダーマたちに見せつけるように、ルアルは自身の結ばれた縄を魔法の力で解いてみせた。

その姿を見て、ダーマは口を開けて驚愕する。

縛られた手を軽く振るって、手の調子を確認すると、ルアルは拳を握りしめて睨みつけた。

「あんたが、どこでその魔法を習ったか知らないけど…私は許せないの!魔術師としての品格を無碍にするような、あんたみたいな人を!!」

「な、なにを……!!この生意気な小娘が!」

ダーマは怒り出すとディーボットに強い言葉をかけた。

「ディーボット、この娘の顔は傷つけずに、痛目を見せてやれ!」

ディーボットは、呆れた様子で、後ろに下がる。そして、何やら自身の武器を取り出した。

それは身長に見合うほどの細長い大きな剣と、中央がガラスに縁が金という高価そうで、ディーボットには見合わない小さい盾を取り出した。

「ダーマ様、いいんですね?」

右手に剣を、左手の甲に盾を構えるディーボットは、ダーマに一つ確認を取る。ダーマからは、不敵な笑みと共に返答があった。

「この生意気な小娘の泣きっ面がみたい!」

そういうと、ダーマの前にディーボットが出てくる。そして少し嬉しそうにするディーボットは、ルアルに伝えた。

「気がすむまで痛めつけていいそうだ」

ルアルは、目前にした2人に対して、距離を取るように後ろに下がる。
そして腰から短い杖を取り出す。

「あんた達に負けたりなんかしない」

それに対して、ディーボットは鼻で笑う。

「いい強気だな。泣きっ面見せてもやめないぞ?」

ディーボットとルアルの間に緊張が走る。
ルアルは唾を飲むと、杖を振るおうとした矢先。
教会の扉が大きく開かれた。
そこから2人の少年が飛び込む。

「ここかあ!!」

レイトとロクスが叫ぶ。


すごい久しぶりの投稿になってしまいましたが、まだ書いてます。
これから毎週投稿頑張ります。

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